gracetory’s blog

東池袋にある合同会社グレストリのエンジニアブログです

CEDECに行くといつも雨が降る(2018/3日目)

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CEDECに行くといつも強めの雨が降るgmatsuです。

ちなみに去年のゲームショウも雨が降ってました。

私は雨男では無いと信じていますが、9月のゲームショウでも降られたら諦めようと思います(笑)

ちなみに去年のゲームショウは雨でした。

さてCEDECの話題ですが、去年はNintendoSwitchのゼルダ(BOW)が発売され、大ヒットしていましたね。

CEDECでもゼルダ関連のセッションが大きな目玉として取り上げられていました。

今年のヒット作といえば年始に発売されたモンスターハンターワールド(MHW)を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。

実際にMHWに関するセッションの数が多く、またそのほとんどがメインホールで開催されていました。

もちろんMHW以外にも様々な公演がありましたので、私が参加させていただいたものを紹介したいと思います。

HTML5ゲームの新しい潮流と開発手法

講演者

紀平 拓男 / Tombo, Inc.

HTML5ゲームとは

  • HTML+JavaScript、その他アセットで構成されている
  • ブラウザが必ず必要
  • 対応ブラウザを限定することはある

特徴

  • ブラウザの機能を利用出来る
  • ブラウザの挙動に左右され、直接ハードウェアにアクセス出来ない
  • ネイティブアプリと比べると6〜7割位の速度で動作(ブラウザ依存なのでしょうがない)

長所

  • インストールが不要(最大の長所)
  • ネイティブアプリのように審査が必須で無い為、頻繁にアップデートが可能
  • 課金手法に制限が無い

短所

  • 配布手段が乏しい
  • ネイティブアプリのように広告環境が充実していない

メッセンジャーアプリとHTML5ゲーム

  • ブラウザがあれば動くので、アプリ内のブラウザでHTML5を動かせる
  • メッセンジャーアプリ(facebook等)との相性が非常に良い
  • メッセンジャーでフレンドになっているユーザを招待したり、スコアを競ったりなど、ユーザが既に持っている他のユーザ情報等を集客に利用出来る(ネイティブアプリだとアプリ内でフレンドを増やさないとダメ)
  • 主要なプラットフォームとしては「Facebook Instant Games」「LINE QUICK GAME(テスト中)」「WeChat(中国市場)」がある

ハイパーカジュアルゲームとHTML5ゲーム

  • ハイパーカジュアルゲームとは「わかりやすい見た目」「シンプルな仕組み」「簡単な進行」からなるゲーム
  • アプリ内課金を利用せず、広告により売上を立てる(トップクラスになると1日に数百万円の売上)
  • 大量に制作し、ヒットの兆しが出たアプリに注力するスタイル

プレイアブル広告とHTML5ゲーム

  • 実際にプレイ出来る広告
  • 動画広告よりも極めて高い効果
  • HTML5で配信されているので、最初からゲームをHTML5で作成すれば、そのままプレイアブル広告に転用可能

開発環境

  • Cocos2d-js
  • Construct2(海外ではこちらが人気)
  • Unity

HTML5ゲームの将来

  • 日本ではブラウザゲームがたまに爆発的にヒットする(ハンゲーム、艦これ等)
  • 5G環境が整ったらブラウザゲームが復権する可能性はある(オリンピックが終了したら5Gが整っているとも言われている)
  • その頃にはWebゲームをプレイする環境も大きく変わり、ひょっとしたらスマフォでゲームをプレイする環境ではなくなっているかもしれない(デバイス自体が変わる可能性)
  • 現状のスマフォだけで遊べるWebゲームだけを考え続けていては、新たなぷらっとフォームが生まれた時に取り残される可能性もある

感じたこと

スマフォでアプリといえばネイティブアプリと思っていましたが、このセッションを聞いたことでHTML5ゲームへの興味がとても湧きました。

ハイパーカジュアルゲームも気になっていたので、何か試しに作ってみたいと思います。

HTML5メッセンジャーゲームのクロスプラットフォーム対応手法

SNSでの公開が禁止されていたので、自分が感じたことだけをさっくりと。

講演者

Joshua Zhang / 楽天ゲームズ株式会社 プラットフォーム事業部 エンジニア

感じたこと

  • HTML5ゲームをメッセンジャーゲームで作り、様々なプラットフォーム(facebook、WeChat等)に対応させようという内容
  • 「HTML5ゲームの新しい潮流と開発手法」を聞いてからだったのでクロスプラットフォームへ対応させる事への重要性をとても感じた
  • ハイパーカジュアルとの相性が良いので、クロスプラットフォームが実現できれば様々な国のユーザにプレイしてもらえ、それが収益につながると感じた

モンスターハンター:ワールド」飛躍を支えた3つの開発改革

今回のモンハンの商品コンセプトは次のように設定され、開発が行われていたそうです。

  • 据え置き機で世界最高品質の「MH」
  • 次の10年間土台となる次世代の「MH」
  • 初めて触れる人がすぐに楽しめる「MH」

以前までのモンハンは、初代モンハンがベースとなり作られていたそうですが、上記コンセプトのためにはほぼ1からコードを作り直す必要があったとのこと。

その為に必要だったモンハン作りの「改革」について公演でした。

講演者

深沢 巧太 / 株式会社カプコン 第二開発部 第一開発室

酒谷 佑一 / 株式会社カプコン 第二開発部 第一開発室

西谷 宜記 / 株式会社カプコン 第二開発部 第一開発室

作り方改革

  • モンスター、ハンター共にほぼ1から作り直す必要があったので、作業には膨大な時間が必要とされた
  • 細かな部分に拘りをもって作れるように、早期にエディタを開発
  • モンハンのウリではあるが、各動作の動きがもっさりしている事が海外では評判が悪かった
  • 回復アイテムを移動しながら使用できたり、各動作が軽快になったのは海外ユーザを意識して作った

マルチプレイの設計改革

  • 今回のモンハンには食物連鎖(大型モンスターが小型モンスターを食べる、争う等)が存在するので全てのモンスターの動きを同期する必要があった
  • 過去作ではホストが全ゲームデータを管理、各メンバーに共有していたが、これをホスト、ゲストで共有管理するようにし、分散管理を行うようにしたので、全モンスターの同期を行っても遅延なくプレイが出来るようになった

長期大規模プロジェクトにおける明確化の改革

  • 1マイルストーンごとに「報告会」「全体チェック」->「終わったら次のマイルストーン」という流れで開発
  • 大規模な開発となったので「人が増え重要な話をしていてもフロアの端から端まで聞こえない」「専門性が増した」「方向性のズレ」が発生するが、「報告会」を行うことによってチーム全員が常に同じ知識、意識を持つことが出来た
  • 全体チェックではチーム全員が作業の手を止めユーザとして遊ぶようにした所、デバッグになってから気づくような不具合を細かく修正出来たので、根本的な不具合を残さずに開発を行うことが出来た
  • デバッグ期間では各担当のバグ対応量を可視化し、他の人が手伝える(気付ける)ようにした

感じたこと

私も実際にモンハンワールドはプレイしましたし、途中からではありますが歴代のモンハンもプレイしていました。

モンハンワールドでは、これまでのモンハンの良さを残し、新しいシステム、拘りがすんなりとユーザに入ってくるゲームだなと感じています。

単純に新しい物を1から如何に効率良く作るか、だけではなく「拘りを持って作る」事への大切さ、またそれを実行する為の「改革」に驚かされたと同時に、この改革によって作られる「次の10年のモンハン」が楽しみになりました。

最後に

2度目のCEDECもとても楽しかったです。

参加していつも考えさせられる事は「開発者としての考え方」です。

ただ言われた通りに仕事をこなすだけがこの業界での開発者では無いと思い知らされます。

去年もそうでしたがCEDECに参加する事で、最近の技術、流行等が知れるだけではなく、開発者としての襟を正してもらっていますね(笑)

さて、次は9月のゲームショウです。

今年も並ぶぞー!