こんにちは、プログラマのykiraです。
今年も開催されたゲーム開発者の祭典「CEDEC2018」
私は3日目に行ったので、その聴講した様子をレポートしたいと思います。
※スライドが公開されたら随時追加していきます
基調講演「インターネット文明における空想と現実」
結論から言うと、今回聴講して一番面白かったのはコレです。
1時間があっという間に経ちましたし、すごくワクワクする話ばかりでした。
そのうちスライドは公開されるとのことなので、気になったポイントをまとめたいと思います。
概要
日本のインターネットの父
- 講演者は村井 純先生
- 慶應義塾大学 環境情報学部教授 大学院政策・メディア研究科委員長
- 最近は手術のオンライン化プロジェクトに携わっている
インターネットの現在
- 現実の空間と大きく違うところは「インターネットには国境が無い」というところ
- インターネットの技術的には「IP(IPアドレス)・EGP・IGP・DNS」このくらいのシンプルな構造
- これを全世界でひとつの空間(国という概念が存在しない)として使っているのが大きな特徴
- だから、a internetでなく、地球とかと同じく(The)Internet
- ただし現実には各国の考え方があるため、どうやって折り合いをつけていくかが鍵
漫画村などの海賊版サイトアクセス規制問題
- インターネット自体に手を入れて規制をするのは難しい
- 世界規模だと困っている人がそこまで多くないから
- 過去に唯一インターネット自体に規制を入れたのは「チャイルドポルノ」のみ
村井先生が想像していなかったこと
- ネットが無線になったこと
- wired → unwired
ゲームとネットの遅延について
- 地球の大きさと光の速度から、必ず遅延が発生する
- 1回の通信では最大133ms(行って帰ってくるので光の速さの7分の1) 133ms to interact
- 人間の脳での反応は400ms、神経の反応は50ms
- ゲームなどではこの遅延が命取り、実際に村井先生にもクレーム電話があった
- 遅延を気にする人がいることがすごく嬉しかった
- ゲームは予測して動かすという手法で133msの壁を超えた、本当に素晴らしい
- 他にも音楽などは40msくらいの遅延しか許容できない
ネットを使った分散処理
- PS3をネットでつないで分散処理、タンパク質解析でギネス
- ネットで繋ぐことによりスーパーコンピュータ以上のことができる
- 例えばいま会場にいる人のスマホをつなげるだけでも凄まじい処理ができる
- 今後、例えばスマホの空いているCPUを貸すと時間によって使用料が貰えるなどのことができると、爆発的に広がりそう(ビジネスチャンス)
- あらゆるものが適度に分散処理されているのが理想
- ブロックチェーンとかビットコインとかの技術はぜひ知ってほしい
データセンターについて
- データセンターは最新鋭、ここで使われるものがそのうち家庭でも使われる
- 今はイーサネット給電している、近い将来 家庭にも普及するだろう(日本の家はネット配線がしやすい構造になっている)
- イーサネット給電で40インチくらいのTVも動かせる
- マイクロソフトは最近海の中にデータセンターを作っている
- 海の水で冷やすということではなく、とにかくエッジサーバを置くことを目的としている(各地に近くなるように)
ストレージの永続化について
- 永遠の課題
- DNAストレージは結構良い
- DNAは永遠に残る完全なコピーができる
- まだコストがかかるが、これも近い将来実用できるかも
コンピュータの未来
- 2029年にはCPUと人間の脳が等価性能になる予想
- これからはやはり量子コンピュータ
- 実際慶應の研究室メンバーの20%くらいは量子コンピュータの研究をしている
- 新しい技術は今は多額の費用がかかるが、数年後には安くなるから誰かから投資してもらってどんどんチャレンジしていこう
ネットのハード面
- 海底ケーブルがとても重要
- ロシアの海底ケーブルは使用料が高い
- 地震でケーブルが使えなくなることもあるので、設置場所など大変
- 人工衛星でネットをするというのがいま進められている
- 準天頂衛星を低空に飛ばしてネットする。1web
- 衛生ネットは人口カバー率100%
まとめ
- 新しいことに挑戦していこう
- ルールがあるから新しいことができないではなく、それがあるとルールはこうするのが良いというように考える
- googleやapple、amazonなど、データを取得してそれを活用している企業に学ぼう
感想
冒頭にも言いましたが、最初から最後までワクワクするお話でした。
ちょうど「ヨルムンガンド」というアニメを見ていたので、量子コンピュータってやっぱり現実でも実現できると革新的なものなんだなと感じました。
インターネット上であれば、ハイパーカジュアルアプリなど最初からグローバル展開ができます。
ですが現実にはそれぞれの国があり、そこには各国ごとの考え方があるということは意識しておく必要があるのだなと感じました。
メディアが語るインディーゲームPR術
基調講演の次はこれを聴講しました。
メインホールからの移動がスムーズにできなかったので立ち見になってしまいましたが、面白かったのであっという間でした。
概要
最近のゲームでPRがうまいと思ったもの
- [動物タワーバトル]
- スクショ投稿・動画投稿ができる機能があって良かった
- マルチになって流行った
- [Strange Telephone]
- もともとのファンを作って、コミュニティを形成している
ライターはどうやって題材を見つけるか
- バズっているもの
- ライターに直接(ライターと仲良くなる)
- ビルドを送りつける
- 独自性の高いものは記事にしやすい
- 公式サイト
まとめ
- twitter超重要。開発中からどんどんつぶやくと目に留まる
- 記事にして欲しい場合は素材とプレイできるものも一緒に送ると良い
- 公式サイトは作ろう
- 目的は記事に載ることではなく、ゲームが売れること
感想
ライターが普段どういうところからネタを拾ってくるのか、どうすれば拾ってもらいやすくなるのかがわかりやすく解説されていました。
中でもtwitterで開発中からツイートし続けてファンを作っていくというのは、自分でもすぐにやれることなので活用できそうだと思いました。
ライターに記事を書きたい!と思わせることが大事だということです。
アナザーエデン 時空を超える猫における“ツール運営“事例
基本的にスライドの通りでした。
アナザーエデンで使われているインゲームエディタのお話です。
概要
- インゲームエディタで全て開発できるようにしている
- 作りっぱなしではなく整理整頓して使いやすくしよう
- ドキュメントや更新履歴は出来るだけ詳細に記載しよう
- エラーメッセージも長くなっても出来るだけ詳細にだそう
- 問題が起きたら誰に連絡するべきかを明確にしよう
感想
どうしてもエディタ周りなどゲーム本編とは直接関係ない部分のメンテは滞りがちだと思います。
使う人がもっと使ってくれるように、もっと使いやすくするにはどうしればよいかを意識して、機能追加や改善をすることが大事だということです。
グラフィックエンジニア向け実践ディープラーニング
すいません、完全に内容を見誤っていました。
事例紹介とかかなと思っていたら技術内容の話だったので、さっぱりわからなかったのです。
内容は割愛いたします。
SINoALICE -シノアリス-におけるUnity活用術
シノアリスを開発する際に工夫したことの紹介でした。
unityの強みを活かして、最初のモックは1ヶ月くらいで作ったらしいです。
基本的にスライドに書いてあること以上の情報はなかったです。
概要
- unityのシーンは複数人で手を入れられない(gitとかでコンフリクト起きる)
- ひとつのシーンをキャラクター・エフェクト・それ以外などの複数のシーンに分割することで、複数人で並列開発が可能
- メッセージシステム(ExecuteEvents)を用いてViewとControllerを疎結合に保つ
- ステートマシンを使うことで各フェーズごとのソースを分離し、保守性を高め
感想
たしかにunityってシーンを複数人で触れないなあと思っていたので、今回あった一つのシーンを複数に分けるはすぐにやってみようと思いました。
メッセージシステムとかはこれでなくても設計がキチンとしていれば問題ないかなと思いましたが、後から後から追加機能があるので、このようなシステムを導入することも大事だと感じました。
SINoALICE -シノアリス- それは最高の「未曾有アクセス」
リリース時の長時間メンテナンスの裏でどのようなことが起こっていたかという話です。
会場からかなり笑いがあふれる、苦労話でした。
概要
- 事前の予測の10倍以上のアクセスがあり、常にアラート状態
- リセマラ抜きのDAUは120万人(事前予約50万人なのに)
- 最高トラフィック28G
- java、round robinせず。接続先をキャッシュしていた
- サーバを増やし続けてMAX1000台(EC2 650台 RDB200台とか)
- m4.16xlarge MAX50台まで増やす(儲けないなと言われる)
- リリース後2週間くらい対応を続けて解決に至る
感想
ゲームのリリース時にはいつも期待と不安が入り混じって、胃が痛むなあということを思い出す公演でした。
初日のインストール数 < 事前予約数だと思っていた(いままでのゲームそうだった)ので、そういうこともあるのかと認識し直しました。
CEDECを振り返って
人がかなり多いのでセッションごとの移動が大変ですが、良い経験になりました。
いろいろなセッションが見たいが時間が被るので、タイムシフトが本当にお得だと思います。
CEDEC書房では本が最低でも10%オフで先行発売とかもあるので、参考書欲しい方はパス買ってでも行ったほうが良いと思います。
来年は聴講するより発表できるように、自社コンテンツリリース頑張っていきたいと思います。